ヘリコバクターピロリ菌

ヘリコバクターピロリ菌

 新型コロナウイルス感染の脅威は世界中で広がっており、日本では全国の小中高学校が臨時休校となりました。、しかし、一斉休校や自宅待機を促進して、新型コロナウイルスの拡散の勢いを抑える努力をしていても、間違った情報の拡散やパニック発生に貢献してしまっては意味がなくなってしまいます。インターネットやメディアではさまざまな情報が発信されますが、 間違った情報に踊らされず、冷静に、エビデンスのある情報を共有しましょう。

今回はピロリ菌感染についてご説明します。

ピロリ菌とは?

 ピロリ菌 は人などの胃に定着する細菌で、正式にはヘリコバクター・ピロリという細菌で、1983年にオーストラリアの医師によって発見されました。現在ではピロリ菌感染が胃がん発症の最大の原因であることもわかっています。

いつ感染するの?

 ピロリ菌の感染経路ははっきりとは解っていませんが、口を介した感染や幼少期の生水摂取が大部分と考えられています。
そのため、上下水道が十分に普及していなかった世代の人の感染率が高く、団塊世代以前の感染率は約80%と高い一方で、若い世代の感染率は低くなっています。

ピロリ菌と胃の病気 

ピロリ菌に感染すると、慢性胃炎が起こり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍だけでなく、胃がんや悪性リンパ腫の1つである胃MALTリンパ腫などを引き起こすことがわかっています。

検査方法

 検査方法は、血液検査による抗体法、呼気テスト、便または尿中抗原検査、組織検査(迅速法と鏡検法)があります。
保険診療ではピロリ菌の存在がすでに検診で判っている方や、胃に関する症状がある方が対象となるため、事前に胃カメラを受けることが条件となっています。これは胃の状態を正しく判定する事や既にできているかもしれない胃がんを見落とさないためです。胃カメラを使わずに、血液検査、便検査、尿検査、尿素呼気試験などで調べることができますが、これらは保険適応外(自由診療)になります。

治療方法

 ピロリ菌は現在、かなり高い確率で退治できるようになりました。ピロリ菌の除菌治療には、胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質の3種類の薬を7日間内服します。一度目の治療で除菌が成功する割合は90%前後となっています。残念ながら除菌できなかった方も薬の内容を変えてもう1回までは保険診療で行う事が可能です。

効果判定

 除菌治療後1ヶ月程したところで成功したかどうかの効果判定テストをします。胃カメラや血液検査を用いない呼気テストという簡単な検査でわかります。

3月~4月は比較的、内視鏡の予約が取りやすくなっています。

まだ一度もピロリ菌検査をしたことがない方、以前ピロリ菌感染と診断されたがまだ除菌を行っていない方、胃の痛み・不快感など消化器症状のある方は是非ご相談ください。

 

事務 小林