旅行医学会

旅行医学会

こんにちは、院長の大塚です。

先週末は代々木で行われた、旅行医学会の総会に参加して来ました。

 

 

旅行医学会は決してメジャーな学会ではないのですが、高山や飛行機内・ダイビング・宇宙などでの身体変化、または各国の感染症や医療事情、放射線の人体影響など多岐に渡った内容について学ぶことができる学会です。

 

今回の学会で面白かったのは国立がんセンターの落合孝宏 先生のmRNA(マイクロ・アール・エヌ・エー)の内容でした。

 

mRNAは私も2−3年前より注目していて、クリニック開業時より導入を検討している最新の診断技術です。

 

落合先生はその研究の第一人者で、直接お話しを聞ける非常に貴重な機会となりました。

 

mRNAは、今までは小さすぎて血液中で発見できなかったリボソームという物体があって、ガン細胞からは特別なリボソーム=mRNAが放出されているということから診断に生かされます。

 

たった50μl(ほぼ一滴)の血液で、13の癌(肺、食道、胃、肝臓、大腸、膵臓、乳房、前立腺、子宮、卵巣、膀胱など)の早期発見や、

 

脳梗塞であれば発症8ヶ月前、心筋梗塞であれば発症1ヶ月前の診断にも繋がります。

 

今までの腫瘍マーカーは60−70%程度の感度(癌である人を癌と見極める)と特異度(癌でない人を癌でないと見極める)でしかなかったのが、90%以上の精度でCTなどの画像に現れる前に発見することができるのです。

 

今回の講演は ‘未病の時代へ’ というテーマでしたが、まさに病気を未然に防ぐという時代は遠くないことを実感させてくれる内容でした。

 

 

また、未病の時代では食による予防医学が大切になるということも話されていました。

 

前述のリボソームは正常な細胞からも放出されて、体中に2655個も存在することが分かっています。

 

それらのバランスやテロメアという遺伝子の一部が食生活によって変化し、生物学的年齢(体の若さ)に影響することを双子のデータ比較でも提示されていました。

 

食材の例としては、日本酒の酵母によりNK(ナチュラルキラー)細胞が癌細胞を攻撃する酵素が増える動画があったり、

 

ワインのピノ・ノワール種にレセルバトロールという抗酸化作用が強い物質が多かったり(必要量は600グラス/年という量になるので、更なる研究は必要です)

 

味噌などの発酵食品よって、Tレグという免疫物質の増殖を認めることも研究されていて非常に興味深い内容でした。

 

 

最先端の研究と、食生活、古の知恵に隠されている科学的根拠

 

我々のクリニックの大きなテーマでもあり、講演会を拝聴したことで背中を押された感があります。

 

 

これからもさらに追求し、皆さんと進化した医療を実現していきたいと思います。